3月5日木曜日、東大本郷で開催されるRISC-V Dayに参加された方に『日本の半導体戦略と電子地政学2024を読む: RISC-V と Googleオープン半導体の動向』を贈呈します。
最新の半導体・AI産業動向を体系的に記述した一冊である。とりわけ、米国のCHIPS法案を起点として再構築が進むAIデータセンタ向け半導体サプライチェーンのロバストネス強化について、その政治的・地政学的背景まで踏み込んで解説した、日本語では数少ない書籍の一つである。
本書では、台湾TSMCを含む各国の半導体政策、ハイパースケーラーのAIサーバー分野で急速に存在感を高めつつあるRISC-Vアーキテクチャ、そしてラピダスを中核とした日本の半導体政策と将来像を包括的に扱う。
さらに、DARPA主導で発展し、Googleが普及を後押ししてきたオープン半導体設計の潮流、アジア各国におけるAIデータセンタと原子力発電の関係性といった、一般報道では語られにくい論点にも踏み込んでいる。
また、NVIDIAに対抗する新興勢力として注目されるTenstorrentが稀に公開する技術思想の根幹にも触れ、AI半導体を巡る競争の本質を浮き彫りにする。
単なる企業紹介や技術解説にとどまらず、国家戦略・産業構造・技術アーキテクチャが交差する現在地を、定量データと歴史的経緯に基づいて描き出す点に本書の特徴がある。
日本政府は、外交・経済・国防政策を統合し、次世代半導体ファブ「ラピダス」の建設に踏み切った。
米中対立という国際環境の中で、日本が世界半導体サプライチェーンの要所を再び担うことは、同盟国との協調と自国経済の再生を同時に狙う平和戦略でもある。その成否が明らかになるには数年を要するが、NISAなどを通じて資産形成を担う一般読者にとっても、世界の半導体産業の現状を正確に理解することは不可欠となっている。
本書は、世界半導体産業の構造をドル建ての定量データで分析し、アジア太平洋地域の最新動向を整理する。
米国と中国の技術者が、米国防省主導の半導体復興運動から生まれたRISC-Vやオープン設計ツールの分野で、現在も水面下で協力関係を続けている現実にも言及し、日本が新たな半導体アーキテクチャと接続することで、過去30年間に失われたグローバルサプライチェーンへの再参入を図ろうとする姿を描く。
これからの30年を日本が生き抜くための、現実的かつ最新の視座を提供する一冊である。