秋のあひるトーク第一弾は、前回大好評だったAI研究者・松田雄馬さんとの2回目のトーク。「AIに奪われない感性を育てる対話~美しいを感じる人間と生命の旅から~」です。
AIやデジタルの世界をここまで柔軟に、見透しよく語れる方はなかなかいません。AIにまつわる不安や幻想を、どうとらえたらいいのか。AIの存在感のます世界の中で、ひとに必要な能力とはなんなのか。
こうした疑問に正解はありません。でも、補助線をひくことで、その方向性をある程度、見とおすことはできます。松田さんの書かれているものは、そんな適切な補助線を引く上で大いに参考になります。
松田さんの新著『DX格差』(三省堂)は、AIに奪われない能力について、AIを駆使するさまざまな現場の方たちとの対話を通じてせまる試みです。
今回あひるとかっぱと旅してきたウズベキスタンとキルギス、いや、ろんどんでも、デジタル化の波に圧倒されました。スマホがないと旅できないという時代です。
今回のトークにあたって、松田さんが以下の文章↓を寄せてくだいました。拙著にもふれてくださっています。わたしじしん、とてもたのしみです!
アーカイブもありです。
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「美しい」とは何か。その答えを探して旅に出た田中真知さんが著したのが『美しいをさがす旅に出よう』(白水社)でした。本書が辿り着いたその答えは、外界の物や文化そのものではなく、それを受け止める人間の内にある「情緒」でした。そして、田中さんは、生成AIとの対話を通じて確信します。生成AIは、「自分にはピカソ作品を生み出せなかった」と語っており、生成AIには、美を感じることも創造することもできない存在であること認めました。「美しい」を生み出し、受け止めることができるのは、情緒を宿した人間であり、いのちの働きそのものなのです。
しかし同時に、生成AIによって社会が大きく変化していることは事実です。ただ「人間にしかできないことがあるから大丈夫」と安心していては、この変化に呑み込まれてしまう危険があります。AIの登場によって、かえって人間の力が二極化している現状があるのです。すなわち、自分にしかない能力を意識し、活かし、さらなる活躍の舞台に立つ人もいれば、その力を見失い、逆にAIに奪われてしまう人もいる――この「格差」が広がりつつあります。私は、新著『DX格差』(三省堂)のなかで、この問題について丁寧な問題提起を行いました。
かつて松尾芭蕉が「物の見えたる光」という表現を通して論じてきたように、「情緒」の大事さ、人間にしかできない力について、多くの人が感じていることでしょう。ところが、忙しい日々の中で、仕事のタスクに埋没してしまえば、その気づきはあっという間に忘れ去られてしまいます。美しいと感じる心を持っていたはずなのに、それを活かす余裕も仕組みもなく、ただ効率や成果に追われるだけの生活に陥ってしまう人も少なくありません。
だからこそ私は、日々の生活や仕事の中で悩みを抱えるビジネスパーソンにこそ寄り添い、彼ら彼女らが「今、何を知らなければならないのか」「どのように知ることで、自分の血肉にできるのか」を考え続けてきました。その答えはシンプルです――人間にしかない能力に気づき、その力を育てていくこと。ただし、それはかつてのように「人間にしかできないから安心だ」と言って済ませられるものではありません。デジタルという言葉の前に立った瞬間、本当に大事なことが置き去りにされてしまうからです。だから私は、日々「情緒」の大事さを説いている人はもちろん、忙しい生活のなかで、目の前の仕事に精一杯になっている人にとっても、人間のみが持つ力を発揮するために必要な考え方を「スキル」としてまとめました。
今回の対談では、田中真知さんの「美しいを感じる情緒」という発見と、私自身が『DX格差』で提示した「AIに奪われない能力」を軸に据え、生成AI時代にこそ必要とされる「生き方」を徹底的に語り合います。単なる脅威論でも楽観論でもなく、文学とビジネス、情緒と実務、感性とスキルが交差する場で、参加者の皆さんと一緒に「AIに奪われない感性をどう育てるか」を深く探求する時間にしたいと思います。
【松田 雄馬】(マツダ ユウマ)
株式会社オンギガンツ代表取締役/大和大学特任教授。非線形科学、身体性認知科学を専門とし、次世代AIを研究しながら、実践的なDX人材育成メソッドを開発。企業のデジタル変革を支援する。著書に『人工知能に未来を託せますか?』『人工知能の哲学』(岩波書店)『人工知能はなぜ椅子に座れないのか』(新潮選書)など多数。高校国語教科書にも多数採用されている。
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【日時】 10月28日(火曜日)19時〜(開場18時30分)
【場所】 楽道庵(神田 or 淡路町より徒歩5分) 東京都千代田区神田司町 2-16
http://www2.plala.or.jp/rakudoan/map.files/map.htm
わかりにくければ同じ住所にあるギャラリーカフェ「手と花」をGoogle Mapで検索してみてください。そこの2階です。
【参加費】2000円(学生500円)
【懇親会】2000円 終演後(19時くらい)より。楽道庵下のギャラリーカフェ「手と花」特製のボリュームたっぷりビュッフェ。お茶・水・箱ワイン含む。お茶・水・箱ワイン含む。お酒や食べ物の持込み自由。近くにマルエツもあります。
【申込み方法】 (facebook経由とメール経由の2通りあり)
① このfacebookイベントページの参加ボタンをクリック。
コメント欄かわたしのメッセージ欄に懇親会参加の有無も書いてくださると助かります。
②
Ym96ZW5rdW4gfCBob3RtYWlsICEgY29tに「AI」と書いて、お名前と参加人数をお知らせください。懇親会の参加を希望するかどうかも書いてくださると助かります。参加費は当日支払いです。