今年は「戦後80年」です。日本も、台湾も、そして世界全体が平和であることを願いながら、”台湾・継続する植民地戦争”という視角で台湾の人たちが戦争に巻き込まれてきた歴史を学ぶ連続セミナーを開催します。
第3回セミナーでは、北村嘉恵(北海道大学教授)さんに「非対称な戦争の記憶を掘る―台湾先住民族の歴史経験と日本社会」というテーマでお話いただきます。
参加は無料、どなたでもご自由にご参加いただけます。
会場参加、オンライン参加の場合を含めて、コチラ↓のフォーム(第3回と共通)から事前参加申し込みをお願いしています。
https://forms.gle/By9jDmmMUuuVZK2s8
〇第4回 非対称な戦争の記憶を掘る―台湾先住民族の歴史経験と日本社会
日時:2025年7月31日(木)18時30分~20時30分(開場18時10分)
場所:キャンパスプラザ京都 第3講義室+Zoom配信
講師:北村嘉恵(北海道大学教授)
自分たちにとって重大な歴史事件とは何か。この問いを基点として、台湾の先住民が直面してきた暴力の経験を掘り起こし、既存の歴史像を編み替える試みが進んでいる。植民者たちによって些細とされてきたできごとを重大な事件として捉え返し、封じ込められてきた記憶を掘り起こす営みでもある。近代台湾の先住民族に焦点をあてて「戦争」の経験を問い直し、台湾と日本のあいだで再生産され続ける記憶の非対称性を考える。
〇講師略歴
北海道大学教育学研究院教授
京都大学教育学研究科博士課程中退。単著に、『日本植民地下の台湾先住民教育史』(北海道大学出版会、2008年)。論文に、「台湾先住民族の歴史経験と植民地戦争――ロシン・ワタンにおける「待機」」(『思想』第1119号、2017年)、「「植民地戦争」再考――台湾先住民族の歴史記憶再構築の地点から」(『大原社会問題研究所雑誌』第765号、2022年、
http://doi.org/10.15002/00025814)、「〈たたかいの歌〉を想像する」(藤原辰史編『歴史書の愉悦』ナカニシヤ出版、2019年)など。
〇タイトル写真説明
・写真左・花蓮市内に立つ七脚川事件紀念碑のレリーフ(2011年制作)
1908年、先住民族アミの集落・七脚川社(チカソワン)は、あるできごとから日本軍警の攻撃の的となり、集落全体が焼き払われた。七脚川アミの逃避行は数ヶ月から数年に及び、生き残った者たちは離散を余儀なくされる。一方、集落の跡地には、官営の農業移民村・吉野村が開設された。この紀念碑が立てられたのは、
「事件」からおよそ100年後の2011年。
・写真右:靖国神社境内に立つ大燈籠のレリーフ(1935年制作)
1935年、富国徴兵保険相互会社(現在のフコク生命)が高さ13メートルの燈籠を献納した。八角形の基壇には、日清戦争(1894-95)から上海事変(1932)にいたる帝国陸軍・海軍の諸戦を主題としたレリーフが14枚嵌め込まれている。その1枚に、七脚川社(チカソワン)への軍事攻撃の場面が描かれている。
〇これまでのセミナー
第1回セミナー 呉密察(元台湾大学教授/台湾近代史研究)「台湾史とはなにか?―植民地主義と戦争が交錯する400年」の見逃し配信動画をコチラからご視聴いただくことができます。
第2回セミナー 宮岡真央子(福岡大学教授/文化人類学)「台湾の先住民族からみる日本の台湾出兵/牡丹社事件」の見逃し配信動画をコチラからご視聴いただくことができます。