戦後80 年の夏、知られざるユダヤ難民の歴史を見つめる
「海でなくてどこに Where but into the sea 」特別上映 in 仙台
第二次大戦期、祖国ポーランドを逃れ、敦賀、神戸、日本占領下の上海へ。
あるユダヤ人家族の「魂の場所」をめぐり、交錯する想いと隠された歴史が浮かび上がる。
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2025. 9. 3(水)
18:45開場 19:00 start (21:00終了予定)
会場 せんだいメディアテーク7階スタジオシアター
仙台市青葉区春日町2-1
上映時間72 分/
アフタートーク
大澤未来(監督)× 菅野賢治(構成・歴史考証)× 宮森敬子(美術)
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入場料 1,800円( 当日券あり 1,900 円)
前売券はメールにてご予約ください。
■予約申込先
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ご氏名・必要枚数・電話番号を上記までご連絡ください。ご予約いただいた方には整理番号をお送りいたしますので当日受付にて、その整理番号をお申し付けください。
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2016 年オーストラリア・メルボルンで、ユダヤ史研究者 菅野賢治が、第二次世界大戦期のジェノサイドを免れた元ユダヤ難民 マリアと出会ったことがきっかけとなって、本作品は生まれました。
1939 年9 月、マリア・カム( 旧姓ウェイランド、1920-2019) とマーセル・ウェイランド(1927 年生まれ) は、ナチスのポーランド侵攻に伴い、家族(両親、弟、姉とその夫)とともに故郷の町ウッチを離れました。リトアニア、ヴィルニュスで、心もとない難民生活を15 か月送ったのち、一家はシベリア鉄道に飛び乗り、ウラジオストック、そして海路、日本へ。これを可能にしたのは、リトアニア・カウナス日本領事代理・杉原千畝が発給した通過ヴィザでした。冷たく荒れた日本海を渡り、たどり着いたのは福井県・敦賀の港でした。その後、神戸に移った彼らが戦時中の日本に住むことは許されませんでした。日本占領下の上海へと流浪は続きますが、彼らはやがてシドニーとメルボルンに安息の地を見つけます。
第二次大戦中に離れ離れになった姉弟の生き残りをかけた旅の軌跡から、それぞれの場所に遺る“忘れ去られた記憶”が浮かび上がります。ユダヤ人の離散の物語を通して、日本人、中国人、オーストラリア人が彼らと築いた関係性も見えてきます。
故郷を離れざるを得なかった人々にとっての魂の拠り所とは…?
現代の難民問題に通じる「ここではなくてどこに」という問いを、彼らの物語が私たちに突きつけます。
当日は、菅野賢治氏と大澤未来監督、彼らの物語に寄せて作品を創作した美術家の宮森敬子氏のアフタートークを開催します。
監督 大澤 未来
エグゼクティブ・プロデューサー 関口清(ki-se-ki シネマ)
構成・歴史考証 菅野賢治
音楽 ヘニング・シュート
アニメーション レイチェル・ウォルズ
美術 宮森敬子
撮影 大澤未来・菅野賢治・近藤武
整音 黄永昌
カラーコレクション 俵謙太
コーディネート 小畑美史
2021 年/日本/日本語・英語・中国語・イディッシュ語/ 2K /白黒&カラー/ 72 分©Marylka Project
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2001 年の東日本大震災をきっかけに、繰り返し大津波が襲う土地に住み続ける人々の心のありようを映画作品として発表した私にとって、「海でなくてどこに」は、住み続けたくとも土地を離れざるを得なかった人々の心のありようを見つめるという、まったく逆のテーマを与えてくれました。まさに「風に運ばれていく木の葉のように」それぞれの土地を彷徨うユダヤ人の物語は数々の作品で語り直されてきました。
その物語に、戦時期の日本と中国からの視点を重層的に織り交ぜ、新たな光を当てようと動き出したユダヤ史研究者の菅野賢治氏との出逢いから、歴史とアートの共同プロジェクト「マリルカプロジェクト」として、我々はそれぞれの土地の記憶と痕跡を辿る旅を続けてきました。
その中で、土地と深く切り結ぶことを許されなかった人々にとって、魂の置き場所はどこに存在するのかという問いを巡り、遺された唄や詩、再発見された映像フィルムの断片など、様々なマテリアルを現在において再演し、物語に織り込む行為を続けてきました。
同時に、記憶を包み込み、時に隠してしまう遮蔽幕(スクリーン)でもある映画を、どのように現実世界に逆照射できるかを模索した作品となりました。
戦禍が繰り返される今日における「ディスプレイスト・パーソン/喪郷者」の「非=場所への旅」に寄り添う作品になっていることを願っています。
監督 大澤 未来
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監督
大澤 未来 プロフィール
1981年東京都生まれ。映画美学校ドキュメンタリーコース修了。映像作家、映画監督。民俗学、人類学をベースに「生き物、自然、宗教と人間との関係性」に注目した作品を発表している。映しだされる映像と音の中から、人間中心の見方を広げて世界を実感できる作品を生み出している。映画美学校在学中に監督として制作した「帰郷 -小川紳介と過ごした日々-」は山形国際ドキュメンタリー映画祭2005 上映作品に選出される。東日本大震災の被災地を古くから巡業する神楽集団を通して自然災害と宗教と人間の関係性を描く劇場初公開作「廻り神楽」(共同監督/2017 年)で 第73 回毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞、キネマ旬報文化映画2017 ベストテンを受賞。ドイツ・フランクフルトの日本映画祭「ニッポンコネクション2019」でも上映。近年は美術作家として、マルチプロジェクション& サラウンド作品『彼らからの視線』( 八戸市美術館/2021)、土谷享(Kosuge1-16)とガスパール・クエンツとのアーティストコレクティブとして映像と立体作品を組み合わせた『BE WATER』( 富山県美術館/2022) を発表している。
歴史考証・構成
菅野 賢治 プロフィール
東京理科大学・理工学部・教養(フランス語)教授。専門:フランス語圏文化研究、ユダヤ研究、難民研究。パリ第10 ナンテール大学でフランス文学博士号を取得。主な著書に『ドレフュス事件のなかの科学』( 青土社、2002 年)、『ユダヤ教、キリスト教、イスラームは共存できるか』( 共著、同志社大学一神教学際センター編、2008 年)、『フランス・ユダヤの歴史』(上下巻、慶應大学出版会、2016 年)『「命のヴィザ」言説の虚構 リトアニアのユダヤ難民に何があったのか?』(共和国、2021 年) 。訳書に、レオン・ポリアコフ『反ユダヤ主義の歴史』(全五巻、筑摩書房、2005 ~ 07 年)、ヤコヴ・ラブキン『トーラーの名において』(平凡社、2010 年)、アーノルド・ゼイブル『カフェ・シェヘラザード』(共和国、2020 年)ほか。
美術
宮森 敬子 プロフィール
ニューヨークのブルックリンと横浜を拠点に活動するアーティスト。三木多門現代絵画賞受賞、日本画を学ぶ。筑波大学大学院修士課程修了後、1995 年に奨学金を得てニューヨークに留学。1998 年、文化庁のフェローシッププログラムでペンシルベニア大学にて1 年間留学し、その後アメリカに滞在、スタジオで活動を続ける。日本やアメリカ、ドイツ、韓国で多くの展覧会を開催し、上野の森美術館、損保ジャパン東郷青児美術館、水戸芸術館、大邱アジア美術展、宮城県立美術館などに展示スペースがある。
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主催 「海でなくてどこに」上映実行委員会
共催 arts Initiative ENVISI せんだい◎文化のまちづくり部
協賛 DAHA Planning Work
※イベント主催者は渡辺曜平となっておりますが、これはFBイベント
の制作者です。実際の主催者は上記となります。
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