9月20日から21日にかけて、半世紀ぶり(1976年以来)に日本地理学会が秋季学術大会を弘前大で開催します(東北地理学会と合同)。
◎全体のご案内
https://www.ajg.or.jp/20250825/23684/
◎研究発表プログラム
https://www.ajg.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/a2025_program.pdf
公開・無料で参加いただける催しは次の通りです。
◇市民公開講演会『地理的視点から見た青森の温泉,再発見』
主 催:公益社団法人日本地理学会
後 援:弘前大学地域戦略研究所、弘前市教育委員会、東北地理学会
日 時:2025年9月21日(日)13:00~16:00
会 場:弘前大学文京町キャンパス総合教育棟101講義室
(青森県弘前市文京町1)
◎プログラム:
・ 基調講演「温泉水の起源:超深層水循環の解明と地震予知に向けて」 山中 勤(筑波大学生命環境系教授)
・「青森県の温泉資源」 井岡聖一郎(弘前大学大学院理工学研究科教授)
・ 「青森県の温泉利用」 若狭 幸(弘前大学大学院理工学研究科准教授)
・ 「人口減少と温泉文化」 羽渕一代(弘前大学人文社会科学部教授)
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▽9月20日(土)午前
・シンポジウムS1:世界地誌学習の新たな方向性――アメリカ地誌と新しい地理的概念――
次期改訂に向けて,地理教育でアメリカ地誌をどのように扱うか,「地理探究」「地理総合」「中学社会科地理的分野」「小学校社会科」において,いかに魅力的な世界地誌学習を構築するか考えたい.
・シンポジウムS2:日本地理学会100周年! いま一度ジオパークと地理学の関係を考える
日本地理学会100年の歴史の中で,ジオパーク対応委員会(2008年~)の蓄積は浅い.しかし日本ではgeoparkを「地質公園」ではなく「ジオパーク」とし,人文社会系と自然系とにまたがる地理学(Geography)関係者が,地域・自然の姿の解明・読解や教育,防災・減災,観光・地域づくりなど多方面で重要な役割を果たしてきた.この機にジオパークと地理学の関係の「来し方」を振り返るとともに,100年後の世界に向けた「行く末」について議論したい.
▽9月20日(土)午後
・シンポジウムS3:概念を視野に入れた地理歴史科教師の再文脈化
――次期学習指導要領改訂を見据えて――
次期学習指導要領改訂を見据え,中教審の議論で各教科等の「中核的な概念・方略」に焦点を当てた議論が為され,指導要領の一層の構造化が検討されている.
そこで,概念志向の教育へ移行したシンガポールの地理教育改革・教員研修に係る基調提案を基に,日本で概念志向の授業を実践している教師の報告のほか,シンガポール等のアジア諸国との比較を通して,中核的な概念や構造化の異同,教師による再文脈化のあり方を議論したい.
▽9月21日(日)午前
・シンポジウムS4:地球的課題解決のための資質・能力を育成する地理教育――小学校・中学校・高等学校までの一貫カリキュラムに向けて――
グローバル化や環境変化が急速に進む現代,地球的課題解決のための資質・能力のさらなる充実は喫緊の課題である.すなわち,よりよい社会に変革する能力の育成が求められている.学校教育では小学校から高等学校まで諸教科等で段階的にその力を育成することが重要であるが,効果的に行われているとはいない.こうした能力育成のための地理教育における必要な教育内容を小・中・高までの一貫したカリキュラムを念頭に考える.
・シンポジウムS5:日本地理学会地名問題検討委員会の発足とアイヌ語地名
このほど,日本地理学会地名問題検討委員会が発足した.日本社会で地名への意識が低い理由の一つに,日本が植民地化された経験がなく,一方で敗戦時に自動的に海外植民地を失い,旧植民地の脱植民地化を自国の問題として受け止めることがなかったことがある.しかし,現在の日本の領土内にもアイヌとの関係のように,異なる民族間の関りの歴史がある.本シンポジウムはアイヌ語地名を中心に日本の地名問題を考える.
▽9月21日(日)午後
・シンポジウムS6:中国の人文地理学研究の最新動向と日中学術交流
近年,中国は目覚ましい社会経済発展を遂げる一方で,先進諸国において顕在化した多様な社会問題にも直面している.このような状況を背景に,中国における人文地理学の研究は,その研究対象および方法論において大きな変化と多様化の傾向を示しており,新たな研究領域の開拓や学際的なアプローチの深化がみられている.
本シンポジウムは,2015 年秋季学術大会時に開催されたシンポジウム「現代中国の都市地理学」の継続企画として,日本地理学会中国地理研究グループとの共催により,日本と中国の人文地理学研究者間の学術交流を継続・発展させ,相互理解をより一層深化させることを目的として開催するものである.
中国人文地理学界の第一線で活躍する研究者より近年の中国における人文地理学研究の研究動向を共有していただき,日中の研究者がそれぞれの視点から,現代社会が直面する地理学的課題,および将来にわたって持続可能な社会発展を妨げる可能性のある課題について多角的に考察し,議論を深める場を提供する.
・シンポジウムS7:トイレと循環型社会の地理学
持続可能な開発目標(SDGs)において,「安全な水とトイレを世界中に(目標6)」が謳われている.排泄とその処理をめぐる体系(サニテーション)は,自然条件(水、気候、地形)や社会条件(資本,技術、知識)の地域的偏在に規定され、時空間の中で多様に展開してきた。本シンポジウムでは人文地理学,自然地理学,地誌学の視点からトイレと排泄,サニテーションついて検討し,循環型社会に関する新たな学術知創出を試みる.